教えるのが大事なんじゃない、自分の生きる世界でどう活かしてもらうかが大事なんだ
アメリカ、ネバダ州リノ市にあるMountain View Montessori Schoolで、長年にわたり3-6歳のクラスを担当されている新保さんから、スクールでの活動、取り組みを紹介いただくオンラインセミナーを視聴しました。
子どもたちの活動の様子を、たくさんの写真を交えて紹介くださったのですが、室内でのいわゆるモンテッソーリ教具を使った活動に加え、廊下・パティオなど自分の好きな環境での活動、温室での栽培、収穫したものを使っての調理(年齢が上がってくるとその販売なども)、生き物の飼育など・・・
部屋の中に閉じず、時には自然や生物の力も借りながら、ダイナミックに多様な活動をされている様子がとても印象的でした。
栽培や調理など食べ物を通じてたくさん日常生活の練習ができるし、外に出て周囲にある自然や生き物をクラスの中に持ち帰って、調べたり研究するなど、他の活動に繋がっていく。
モンテッソーリ教育は子どもに「教える」のではなく「鍵を渡す」と言われますが、まさに教具を通じた活動は鍵や入り口にしかすぎなくて、それをどう自分が生きている世界で活用していくか、展開させていくかが大切だし、自立につながっていくのだと思いました。
机上だけで得た情報は、リアルな体験や実践(こういうことか!)とは紐づきにくいですよね。知識としては知っているけれど、具体的にどういう感じかはわからない、というような。
そのために教室内だけではなく周囲の自然も環境の一部として使い、教師はその環境と子どもを結びつけていく役割を担うことが大事なのだと改めて。
また、毎週子どもたちと学校の近くにある小川まで出かけることにしているというエピソードの紹介も。
それを始めたきっかけは、Last Child in the Woods: Saving Our Children From Nature-Deficit Disorder(邦題:『あなたの子どもには自然が足りない』)を読み、「子どもたちを自然欠乏症から救いましょう」というメッセージにインパクトを受けたからだったとのことでした。
同じ場所に四季を通じていくことで季節の変化を感じられるし、裸足で川に入ったりして身体や感覚を通じて体験し、自然の中で自分自身で発見していく時間として大切にされているそう。
本がきっかけで取り入れられた活動ですが、きっと感覚の洗練の敏感期にある子どもの発達ニーズに応えるひとつの機会になっているだろうなと想像できますし、この活動でも新保さんは「環境と子どもを結びつける」役割を担われていると感じました。私たちもトレーニング中に学んだ、大人の大切な役割のひとつです。
最後に新保さんが話されていて印象的だったのは、プラン(提供の計画を立てる)の話。
・(いつ、何を提供するか)プランを立てるのは良いこと、ただしそのプラン自体が良いという意味ではない
・プランを立てる際に、「その子どもが前に何に取り組んでいたのか」「その時どのように取り組んでいたのか」を自分の観察ノートを見ながら考える
・立てたプランが役に立つのではなく、立てる過程が役に立つ。観察をベースに、その時の子どもの発達ニーズに応えるには?を考えることができる
先日ちょうど子どもへの提供プランを考えたところで、早速プラン通りにはいっていないのですが(笑)、それはその時々の子どもの状況や発達の段階があるからこそ。
いつでも観察がベース。
プランに子どもを合わせようとするのではなく、子どもを観察して、子どもの発達段階に合わせてプランをチューニングしていくことを大切にしていきたいです。
▼今回のセミナーで紹介のあったMountain View Montessori School
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