道路脇のあぜ道を入ると草木の香りが一気に全身をまとい、ああ自然との距離が近づいたなと感じます。

少し歩くと右斜め前にビニールハウスが見えてきました。
『きいろいおうちファーム』です。

ビニールハウスのドアを開けると、そこには不思議な空間が広がっていました。

雑草と絵本とバラ。

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そのその組み合わせは一瞬頭では理解できないのですが、
『きいろいおうちファーム』の横田さんや内田さんのお話を聞くうちに様々なことがわかって来ました。

なぜバラ園に絵本が!ということも書きたいのですが、長くなるのでw今回は雑草とバラについて書こうと思います。

バラ園というと、ビシッと整列した場所に沢山の花がここぞとばかりに咲き乱れ綺麗に管理されたものをイメージしてました。

しかし、なんとここのバラは雑草と一緒に生えているのです。
ここで栽培されているのは、完全に無肥料無農薬の食用バラ。こだわりのレストランやジェラート屋さんで使われているそうです。

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ではなぜ雑草と一緒に栽培されているのでしょうか?

私は素人なのですが、一般的な農家の方から言うと、バラを雑草と一緒に、しかも無農薬でなんて非常識にもほどがあることなんだそう。

しかし、横田さんによると、その土地に自然にあるもの(雑草含む)が最高の肥料になり、美味しく香りのよいものができること。
そこにはいくつかの種類のバラがあったのですが、香りも味わいもそれぞれに素敵で個性があるというのがはっきりと感じ取れました。

そしてもう一つ。雑草があると、そこに虫が来てくれて、バラの害虫も自然の摂理の中で駆除してくれるというのです。まさに訪問した時も蜂が虫を運ぶ様子が見られました。

植物や生物の循環の仕組みがそこにありました。

これが雑草をすべて抜き、土に肥料を撒き、虫がつかないように農薬を散布するようなやり方で栽培した場合、見た目は綺麗なものができますが、常に植物にドーピングをしている状態と同じになってしまうわけです。

結果、土は痩せて何度も何度もドーピングを繰り返さなければならなくなってしまいます。それでは持続的ではありません。

隣の畑では、ミニトマトを作っているということで、こちらも見させていただきました。

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一見、放置された雑草林にしか見えませんw

雑草を掻き分けていくとその中にミニトマトがなっているのをやっと発見することができます。
ここも先ほどのバラと全く同じ理屈で作られています。

このような作り方をすると、特に初期の小さい頃は育つのに非常に時間がかかるそうです。ドーピングをすれば一気にこの成長スピードを早めることができるわけですが、そこをじっとじっと我慢して待つのが大事とのこと。

丁寧に待ち、ある一定のところまで来ると、その植物の本来のポテンシャルが一気に開花し、大きく成長し、とても美味しい野菜になるのだそうです。

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そのお話を聞いて、なるほどなぁと思ったのは、ほったらかすの待つのは違うとのこと。

丁寧に観察をしながら、その植物の本来の力が発揮されるよう絶妙にバランスをとっているということです。
例えば、雑草は大事なのですが、栽培している植物の丈を大きく超えてきてしまうと光合成含め成長の阻害要因の方が大きくなってしまうので伐採したりするそうです。

そのお話を聞きながら、子育てや人の成長のことが思い出されました。

私はモンテッソーリ教育を学んでいますが、 そこでとても大事にされている考え方は、子どもには元々成長する力が備わっているということです。
それを大人側の都合で無理やり何かを教え込んだり、自然的な成長を阻害してしまわないということです。

そしてそれには絶妙に整えられた環境が必要といわれています。

例えば子供は、「成長の過程で周り探索したい。」、「失敗と成功を繰り返しながら自己成長したい。」そんな本質的な欲求があります。

しかし、その場所に何もなかったら探索できないですし、繰り返し行うことを親が止めてしまったら、自分で自分を成長させていくということが阻害されてしまうわけです。

このバラ園や、ミニトマト園、一件放置されているように見えて絶妙に整えられた環境だなと感じました。

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そしてそれは、 植物にとってだけでなく、ここに来た私たちにとってもそうでした。1歳の息子は、その植物園の中を歩き回り探索し、たくさんの自然に触れていました。また、何度も何度もいったり来たりを繰り返し、身体全体で楽しみながら半日過ごしていました。子供の成長にとっても絶妙に整えられた環境がここにありました。

もう少し大きい子だったら、植物循環のこと、持続性のこと、一年の季節の移り変わりなどを体感して学べることと思います。

そして、無肥料無農薬の場所ですから親にとっても安心です。
子供を遊ばせ、草木やバラの香りを感じながら、リラックスしたり、あるいはワーケーションなんていうのもよいなぁと思いました。

また是非行きたいなと思う場所に出会いました。

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